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立教セカンドステージ大学・2022年度修了式・式辞

総長 西原廉太

セカンドステージ大学のみなさん、ご修了、誠におめでとうございます。今年度もさまざまなコロナ対応の中で、みなさんにはさまざまな負荷をかけることになってしまいました。しかしながら、そうした最中にあっても、それでも挫けることなく、学ぶことに対する誠実な熱情を保たれて、本日、この日を迎えられた、みなさんの努力に、私は立教セカンドステージ大学学長として、心からの敬意を表するものです。同時に、この時代に、みなさんがセカンドステージ大学で学ばれたことの、特別な意味をぜひとも思い巡らせていただければと願います。きっと、与えられたものも限りないと信じています。

言うまでもなく、立教セカンドステージ大学は単なる生涯学習の場や文化講座プログラムではありません。そうではなく、「学び直し」と「再チャレンジ」の〈プラットフォーム〉として、私たちは位置づけています。みなさんは、〈セカンドステージの生き方〉を自分自身でデザインされ、テーマを持ち、それを深められました。その証こそが、みなさんに本日、授与されました修了証に他なりません。

しかしながら、みなさんの学びはもちろん今日で終わるわけではありません。むしろ、今日は、みなさんの学ぶ者、学徒としての新たな出発の時なのです。立教セカンドステージ大学で与えられたさまざまな新たな知識や気づきを、みなさんのこれまでの、そしてこれからの経験と重ね合わせながら、ご自分だけの言葉に置き直し、新たな可能性を築いてくださることを心から願っています。

コロナ禍だけではなく、昨年の今頃、突如として始まったウクライナにおける戦闘は未だ終息していません。今、この時もウクライナでは武力によって貴い命が失われ続けています。これまでも、ウクライナへのロシア軍の進攻をめぐって、無数の情報が流されましたが、何が真実で、どれがフェイクなのか、それを見分けるためにも、誠実な学びが必要です。今回の事態を本当に理解するためには、例えば、ロシア正教会とウクライナにおける複数の正教会、ギリシャ正教会、ローマ・カトリック教会などの西方教会との歴史的関係性、プーチン大統領とロシア正教会の関係性などを深いところで知る必要があります。プーチン大統領は、実は先日の国家記念式典での演説で、英国の聖公会を名指しで批判しました。英国聖公会が同性婚の祝福を認める決定をしたことに対し、西側文化の退廃の象徴と指摘し、ウクライナの状況とは、まっとうな倫理を保守する東側と腐敗した西側文化の価値観をめぐる闘争なのだと指摘したのです。プーチン大統領の思考とは、単なる領土をめぐる武力侵攻ということだけではないのです。みなさんは、このセカンドステージ大学で、そうした物事の見方や手法についても学ばれました。これはきわめて重要なことであると確信しています。

この困難で予測不可能な時代にあって、この社会にさまざまな形で貢献する担い手として、みなさんのこれからの人生を豊かに過ごしていただきたいと思います。そのきっかけを提供することができたならば、私たちにとって、これ以上に嬉しいことはありません。

本日、立教セカンドステージ大学を修了されるみなさんお一人おひとりが、この修了証に誇りを持ちながら、新しい世界を構想し、豊かな、いのち溢れるみなさんそれぞれのセカンドステージを生きていってくださることをお祈りして、私の式辞とさせていただきます。

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