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郭 洋春学長(立教大学総長)による祝辞

立教セカンドステージ大学修了生の皆さんへ(2018年度修了式)

2019年3月22日
立教大学総長
立教セカンドステージ大学学長
郭 洋春


本日立教セカンドステージ大学は、本科生93名、専攻科生 40名に修了証書を授与します。

立教セカンドステージ大学の本科生の皆さん、専攻科生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。

皆さんが1年間あるいは2年間立教大学で過ごした時期は、多くの学生が羨む時期でした。なぜなら2017年は、東京六大学野球で18年ぶりに優勝し、大学選手権においては実に59年振りに優勝したからです。私は1983年から35年間立教大学で学び、奉職していますが、その間六大学野球で優勝したのは2年前の優勝を含めわずか4回だけです。多くの学生は、優勝の歓喜、優勝パレードの楽しさを経験できないまま卒業していきました。その貴重な経験を皆さんは入学してすぐに味わうことができたのです。

修了生の皆さんの中には、たかが大学野球ではないか、なぜそんなに誇張するのかと疑問に思う人がいるかもしれません。しかし、日本に780余りの大学がある中で、東京六大学野球を東京六大学の学生として応援・観戦できるのはわずか6校しかありません。その歴史と伝統の重みは、優勝回数やどんなに素晴らしい選手を輩出したとしても他の大学では決して味わうことのできないものです。

また昨年本学は池袋キャンパス100周年を迎え、様々な取り組みを行いました。卒業生の皆さんも至る所でその取り組みを目にしたことでしょう。特に11月18日に挙行した100周年記念行事で行った日本のメディア界の第一線で活躍する4人の卒業生によるトークイベントは、本学関係者だけではなく、日本中の人が驚きと羨望のまなざしを立教大学に注ぎました。これも立教大学しかできないことです。

さらに立教セカンドステージ大学も開設10周年を迎え、10月18日には創立10周年記念の講演会・パーティを開催しました。正に皆さんが立教セカンドステージ大学に在学した期間、立教大学の素晴らしを全て味わうことのできた代であり、誰もが羨む時間を過ごしたのです。

しかしそれ以上に皆さんにとって最も貴重なモノを得たと思います。それは新たな仲間との出会いです。

修了生の皆さん

周りを見て下さい。立教セカンドステージ大学に入学する前までの50年以上知らなかった人たちと、わずか1、2年で友人・同志と言える仲間が沢山できたではないですか。それは普通のカルチャーセンターではありえないことです。また、立教セカンドステージ大学で教えて頂いた先生方との距離の近さも稀有なものです。ほとんどの先生が、大学教授・名誉教授でありながら、優しく親しみを持って接してくれ、時には皆さんと一緒に輪読や議論をしたり、時には学外でのフィールドワークをしたりと、皆さんが青春時代を過ごした時の学校の先生とは異なる距離の近さがあったのではないでしょうか。

これこそ本学の建学の精神であるキリスト教に基づく教育の具現化である「共に生きる」を実践しているからに他なりません。立教セカンドステージ大学の設立の目的は、人文学的教養の修得を基礎とし、「学び直し」「再チャレンジ」「異世代共学」です。この力こそ21世紀の日本はもちろん、世界の経済社会を生きる上で必要な能力です。

日本は今、「人生100年時代」に入りました。そうであるならば立教セカンドステージ大学を終了したとしても、皆さんには次のステージ=サードステージが待っていることになります。その時、どのような人生を歩むのかを考えた時、皆さんにはこれからもやるべきことがたくさんあると思います。

修了生の皆さん。改めて手を横に広げてみて下さい。手を広げればすぐ触れる距離にこれからの人生を「共に生きてくれる」仲間が大勢いることに気づくでしょう。その仲間と共に第3の人生を切り開けると思ったらこれほど楽しく、また心強いことはないと思います。

21世紀は、知識創造型社会になるでしょう。その知識創造型社会に必要なものは、経験と向上心です。それは正に皆さんが立教セカンドステージ大学で習得した能力だと私は思います。

『トムソーヤの冒険』の作者であるマーク・トウェインは次のように言っています。「今から20年後、あなたはやったことよりも、やらなかったことに失望する。ゆえに、もやい綱を解き放ち、安全な港から船を出し、貿易風に帆をとらえよ。探検し、夢を見、発見せよ。」と。

人生において、今まで何もしなかった自分に失望したり、若い時にチャレンジしておけば良かったなどと後悔するよりは、大変だと思ってもチャレンジすることが大切だということです。言い換えるならば、人生において何もしないこと、チャレンジしないことが最大の後悔=リスクだということです。チャレンジした数だけ人生は豊かになり、充実するということです。

正に立教セカンドステージ大学で学び、新たな仲間・先生と出会い、新しいことを経験した皆さんこそ、知識創造型社会を切り開く、フロントランナーになれると私は思います。次の世界の主役は若い人だけのものではありません。多くの知恵と知識、経験を有した世代が先頭に立ち、次の時代を切り開く時、若い世代はその姿に感動に、一歩前に歩み出す勇気を与えられるのです。

したがって、立教セカンドステージ大学で学んだ皆さんには若い世代をリードする責務があるのです。立教学院の創立者チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教はわずか30歳の時、日本にきました。十分な日本語も話せず、仲間もいない。そのような中でもウィリアムズは自らに課せられた使命を遂行するために、東京の築地に立教学校を作りました。わずか数人で始まった立教学校は現在では校友数20万人を超すまでの大学へと発展しました。まさにウィリアムズが蒔いた一粒の種が大きく開花したのです。

もしウィリアムズが、145年前、何もせずそのままアメリカにいたなら、今日の立教大学は存在せず、ましてや立教セカンドステージ大学が設立されることはありませんでした。是非皆さんも、第2、第3のウィリアムズになって下さい。そして、悔いのない人生を歩んで下さい。立教大学も皆さんと共に歩み続けます。

最後になりますが、改めて修了生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。

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